未定

未定。すべてが未定。

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2018年7月以前の記事(アメブロ):https://ameblo.jp/kumai-3







【感想】カラスカ公演『まんま、見ぃや!』~キャラクター編~

こちらは各キャラクターに注目して書いてあります。
全体的なお話の流れを書いた『あらすじ編』、個人的に気になったことを書いた『個人の感想編』もあります。




○烏森笑子(からすもり えみこ)

思ったことは素直に口に出してしまうタイプで、良く言えば裏表が無い素直な子です。
松五郎と銀二のリアクションが大きいことにも「めんどくさい」だの「ちょっと黙ってて」と言ってましたし。
松五郎が出資してくれると言ってくれた瞬間に「お財布になってほしかった」と本人の居る目の前で言ってました
極めつけは、冒頭にも書いたのですが、実近に求婚された時に「気持ち悪い」「生理的に無理」「吐き気がする」と、本人に向かって言ってました。
はっきり言われた実近は泣き出してしまうのですが、後から現れた父親の譲吉に「誰が泣かせたんだ!? お前かー!!」と言われても、正直に「気持ち悪かった」と告白していました
気持ちはわかる。

笑いのセンスは父親譲りの部分もあって、あるとは言えない、いや、むしろ無いに等しいくらい。
みどりが包丁を持って自らを傷つけようとしていた時、「楽しいこともある」と説得したら「ここでやってみせてよ」というみどりの無茶振りを受けまして。
笑子と笑子に巻き込まれた春樹が駄洒落を言うのですが、それはそれはもう……言葉にするのが恐ろしいくらいの衝撃でした。

例え笑いのセンスが無くても、観に来てくれた人が笑顔になってほしい。
そして、愛子にもう一度『からす座』を観せてあげたいという思いを胸に、人材集めを続けます。
話の流れで実近やらシュンカやらを受け入れる事になりますが……。

個人的に笑子の見せ場は後半なのかな、って思います。
実際の『からす座』公演パートですね。
敏郎の検閲により、語尾に「ワン」をつけて話すようになったわけですが、これが不思議と違和感なかったんですよね。
まともな演劇だったら変だったのかもしれないけど、『からす座』ということもあったからでしょうか。
ところで、両親が漁師という設定を聞いて、某肩紐差し替えの話と結び付けたのかと思ったけど、江戸さん知らなかったっぽいな……。

譲吉への復讐を果たすシーンでの一言、違う意味で勇気のある決断をしたと思いますね。
あの緊迫した空気の中で、あの一言が口から出せるなんて、まさに『勇者』でした。
親の血を、ちゃんと引き継いでいましたね。

全体的には、愛子と共にダブルヒロインという感じでしたけど、笑子はかっこいいヒロインでしたね。
いざという時には頼りになりますし。
笑いのセンスは無いとしても、人を惹きつける魅力を持っていると思います。




○烏森愛子(からすもり あいこ)

笑子が『かっこいいヒロイン』としたら、愛子はかわいいヒロイン担当でした。
初対面のすみれに対して、自分の感じたことをそのまま伝えられる意志の強さは、きっと姉と同じで親譲りの部分があるんでしょうね。
それも、無邪気な瞳で見つめられながら言ってくるのですから、すみれだって恋に落ちてしまいますよ。

一方で、身体の方はあまり強くは無く、胸に持病を抱えている状態。
それでもいつも笑顔で居られるのは、笑子をはじめとしたみんなが、一緒に居てくれたからでしょうか。
父親の「苦しい時こそ笑え。辛い時こそ笑顔が必要なんだ」という教えが、愛子にも伝わっていたんでしょうね。
もしかしたら病気の事で、色々思い悩んでいたかもしれませんが、みんなと一緒に居る間は、笑顔でいよう。
そう思っていたのかもしれませんね。

最初は『からす座』の観客という立ち位置だったのですが、すみれの指名を受けて舞台役者へと転向しました。
役者は未経験ということもあって、すみれがやりにくくないか、自分では力不足ではないか、そんな気持ちがあったと思います。
すみれの相手役から外れ、悪役になったのですが、アドリブ入れるほどの熱演っぷりでしたね。
舞台裏の千草が「そんなセリフあったっけ……」という感じで台本を見ていたので、愛子のアドリブでしょうね。
それにしても、素の笑い方は変わってるのに、高笑いは凄く良く出来ているというギャップがあったり……。

恋愛的には、久仁彦に思いを寄せていましたが、久仁彦はすみれに、すみれは愛子にという、不思議な三角関係が生まれていました。
エンディングでは、3人が仲良く(?)していたようなので、普段は思ったことを言えるのに、恋愛になると自分の気持ちが言えなくなるタイプなんでしょうね。




○河内屋松五郎(かわちや まつごろう)

まずは懺悔させていただきます。
最初から疑ってすみませんでした!!
恐らく『カラスカ』のファンクラブ会員の3人に1人は感じていたと思います。
松五郎が笑子と愛子を引き受けたこと、『からす座』に出資をしようと言ったこと。
絶対裏で、何か悪だくみをしているに違いない、と。
笑子と愛子が居なくなった時に、銀二に「いいんですか?」と聞かれ、「いいんだ。あの子らには、きっちり働いて貰わないとな……」と言いながらにやりとする姿。
容易に想像できてしまいますよね!!

……コホン。取り乱しました。
話の中で、いつ裏切ってくるのかと、内心ハラハラしましたけど、結局のところ最後まで良いお財布でしたね。
間違えました。良い人でしたね。

呉服屋を営んでいるということもあってか、顔の広さはあるようで、色んなことを「ちょいと調べて」ましたね。
今のようにインターネットとか、ましてや電話すら普及してない時代でしたからね。
調べるといっても、そう簡単な事ではありませんよ。
情報網をうまく利用して、『からす座』にとって良い方向へ導いた縁の下の力持ちでしたね。




○榎木銀二(えのき ぎんじ)

河内屋の使用人ということで、今回は普通の人間で良かった……と思ってました。
お笑いが好きなようで、マチャコが現れた時も「あれ、この人どこかで見たような……」という表情をしてましたね。
その後、勇気を振り絞ってマチャコに話し掛けたことで、最終的には『からす座』に招き入れられたわけです。
実は銀二の声掛けが無ければ、マチャコが『からす座』に入る事も無かったのでは……。
そう考えると、銀二はこのシーンで大きなお手柄を上げてたんですね。

その後、マチャコにハリセンで叩いてほしいという、これくらいなら普通の人も同じこと思うよねというところまでは良かったんです。
敏郎の「動物を出しましょう」という言葉に、白羽の矢が立ったのが銀二だったという。
そして後半は野良猫役として登場しました。
演劇としては違和感があるはずなのですが、どことなく安心感が漂ってくる不思議
動物役が見慣れているからかな、と思ったのですが、前回はモンスターでしたね。

あと、久仁彦がすみれの稽古を毎日観に来ていると、千草にバラされたシーン。
なぜか関係ないのに、無駄に殴られてしまうあたり、銀二は持っているのかもしれません。
最後には、マチャコの相方として、何とか認められたわけですが、突っ込まれる時にハリセンで叩かれるわけですし。
殴られる、叩かれるは十八番だったのかもしれません。




○里村春樹(さとむら はるき)

笑子と再会した時、何となく気まずい雰囲気をしていたので、笑子と何かあったのかと思いました。
実際は戦地での出来事がきっかけで、全ての物事から逃げ出すようになってしまった、と。
春樹の戦時中の事が、物語の中で徐々に明らかになっていくのですが、最終的には「相当、辛い思いをしたんだな……」という印象でした。
春樹は戦前、『からす座』を背負っていく役者として認められていました。
しかし、戦争が起こり、春樹も戦地へと赴きます。
その時も、『からす座』に居たときのように、『からす座』の大切な志を胸に、小隊を励まし続けていました。
「苦しい時こそ笑え」
戦争で苦しい、いつ自分の命が失われるかわからない恐怖、そんな状況下でも笑顔を忘れなければ、前を向いていける。
その想いでここまでやってきたのに……。
春樹が敵の状況を視察するために先行したところ、後方に控えていた方が攻撃を受けてしまい、春樹はその場から逃げることを選択します。
時代によっては「戦地で命を落とすのは英雄だ」という風潮があったかもしれません。
そういった風潮からすれば、「逃げ出すなんて何事だ」と言われるかもしれません。
それでも、何かを守るには、生き続けなければなりません。生きていなければ、守ることも出来ません。
春樹の判断は間違っていなかったと思います。
ただ、その代償として、昨日まで一緒に笑っていた仲間が、一瞬で消えてしまう悲しみ、恐怖、絶望を味わってしまいました。

その折れた心を癒してくれたのが、シュンカであったり笑子であったり。
近くに居る人の存在が、傷を負った心を少しずつ癒してくれました。
『からす座』の公演では傭兵として、赤ちゃん言葉を使いながら演劇を進めていきました。
譲吉が乱入して、公演が壊されそうになった時、真っ先に立て直そうとしたのが春樹でした。
少し前の春樹だったら、「もう無理だ……」と思って逃げ出していたかもしれません。
しかし、この時はもう変わっていました。
自分の意思を貫ける、強い心の持ち主に。

序盤からそうだったのですが、笑子と春樹って結局どういう関係になったんでしょうね。
劇団の団長と所属役者という関係で、最初から最後まで話が進みましたけど。
実近が笑子を狙っている時も、無理に割って入らなかったところをみると、恋愛感情は無いのかもしれませんね。
やっぱり、お世話になった人の娘というのもあって、深く踏み込めないのかもしれませんね。




○源田久仁彦(げんだ くにひこ)

キャッチフレーズをつけるとしたら、『強く、かっこよく、美しく』でしょうね。
最初の登場シーンから、いきなり梅之助と太郎を圧倒的強さで倒していましたし。
それでいて、すみれに対する気持ちはまっすぐ純粋で。
女子になった格好が、違和感なく美しいのは、正直ずるいと思いました。
今作品の一番の注目ポイントですね。

久仁彦は性格的に、直球一本勝負といった感じなんでしょうね。
すみれが慰問公演に来てくれた時の事を、本人に対して気持ちをぶつけていましたし。
春樹に対しても、さり気なく「何が面白いのかわからなかった」と正直に言っていましたし。
まっすぐでいるからこそ、自分のやる事に迷いが無く、何事も受け入れられるのでしょう。
女役になっても、すみれに恩返しがしたいという一心で、懸命に役作りに励んだようですし。
好きな人のためだったら、どんな障害も乗り越えられる。
愛の成せる業ですね。




○星宮すみれ(ほしみや すみれ)

『カラスカ』作品というか、江戸川作品ではお馴染みの陽菜さんだったのもあって、終始安心して観ていられました。
姐さん的存在から男役、さらには乙女と、作品中ですみれの表情がコロコロ変わっていくのも良かったですね。

すみれは元々、宝鹿歌劇団に所属していました。
戦前からある歌劇団で、慰問公演をやっていたということは、その頃までは在籍していたということですよね。
退団した理由は明らかになっていませんが、恐らくは男役として演じている時、魅力的な女子と演技すると乙女になってしまうから、でしょうか。
最初のうちは気付かないフリをしていたけれど、徐々にその気持ちが抑えられなくなってしまい、このままではダメだと気付き、自ら退団したといったところでしょうか。

『からす座』の公演は、終盤まで久仁彦が相手役になりましたが、そこはスタアの誇りがあったのでしょう。
難なくこなしていました。
物語の終盤、久仁彦が急に舞台裏に走り、愛子を連れ出します。
そして、いよいよ念願のシーン……というところで、愛子が突然苦しみだします。
愛子の希望もあって、舞台を続けようとしますが……とここで突然、笑子が歌いだします。
この時のすみれですが、急に笑子が歌いだしたことに驚きましたが、まずは愛子の様子を伺います。
そして、裏方にいる千草に状況を伝えます。
愛子の方が落ち着いたところで、笑子の方へと意識を向かわせます。
役柄ということもありますが、愛子を想う気持ちが強いからこそ、ずっとそばに居てあげたい、大切にしたいという気持ちが表れてましたね。




○嵐山梅之助(あらしやま うめのすけ)

嵐山家の家系ではあるものの、父親が亡くなったのが2歳の時の事。
今の雰囲気からすると、20年近く前の話になりそうですね。
その間に戦争などもあり、お金にはかなり苦労していた様子。
秋月家に仕えて、母親の薬代を面倒見てもらっていたようですし。

歌舞伎を見たことも演じたことも無い梅之助でしたが、どことなく歌舞伎の動きが組み込まれていましたね。
冒頭のシーンでは、わざと動きを煩くしていたのかなと思ったのですが、この辺りから『歌舞伎』の雰囲気を出していたんですね。
本人は興味ないといった素振りを見せますが、小さい頃……それこそ生後間もない頃から、歌舞伎の公演を近くで観ていたのかもしれません。
1歳の頃とかなので、覚えていないのでしょうけど。
その姿が、どこかに引っ掛かっていて、あのような動きをしていたのかもしれません。

最初はあまり乗り気ではなかったようですが、みどりに「梅之助さんの演じる姿が観たい」と言われてからは、やる気も一気に上昇しました。
誰から教わるでもなく、恐らく独学で作り上げたのでしょう。
本番では見事な歌舞伎を見せてくれました。
その姿に感動して、ラストではみどりから声を……と思ったら、声を掛けられたのは太郎の方でしたね。
やっぱり最初の印象と同じく「ひどいですね」と思ったのでしょうか……。




○上田太郎(うえだ たろう)

ただのバカ。それ以上でも以下でも、ない。
というくらい、実は情報が無いんですよね。太郎だけは。
どこかの家元でもないし、お金持ちでもない。
解っていることは、秋月家に両親の働き口をあっせんしてもらっている事だけ。
あと、みどりのことが好きだということくらい。

バカなキャラって、正義側にいるとイライラする事が多いのに、悪役側にいると憎めない感じが出ますよね。
序盤は悪役側だったのもあって、素直に見ていられました。
これが、すみれの立場からすると、バカ過ぎてイライラどころか呆れてしまうのでしょうね。

普段は頓珍漢な事をする太郎でも、みどりのことになると急に男前になるんですよね。
好きな人の役に立ちたい。そのために、何かできることはないか。
みどりのことが心配で、いつも気にかけている。
これも愛の力なんでしょうか。

そして、『からす座』の公演に出て、演劇の楽しさを知りました。
今後はどのような役者になるのか。
そもそも台本が覚えられそうにないのに、役者になれるのか




○秋月譲吉(あきづき じょうきち)

今回のいわゆる『悪役』サイドの人間。
『からす座』に因縁をつけている理由が、笑子たちの母親にフラれたからという。
とんだ逆恨みといったところでしょうか。

今回も『からす座』を単に潰すだけだったら、色んな手が使えたと思います。
しかし、実近の件があるので、あまり派手には動けない。
結果として、今回のような何となく中途半端な形になってしまったのでしょう。
下手に動き過ぎて公演中止ともなれば、大事な実近に怒られますからね。
その中途半端さがあったからか、悪役にしてもあまり憎めない感じがありましたよね。
タクヤさんだから、というのもあるかもしれませんけど。

『からす座』がどういう劇団かはわかりませんが、もしかしたら出演のオファーが来るかもしれませんよね。
さり気なくマジックショーくらいは出来そうな雰囲気ありましたし。
ただし前座で。




○秋月実近(あきづき さねちか)

大事にされまくってるお坊ちゃま。
最初から何となく気持ち悪い感じがありましたけど、後半の『からす座』公演になると欲望のままに突っ走る姿が、これまた気持ち悪いというか。
気持ち悪いといっても、あくまで誉め言葉ですので。

ただのお坊ちゃまとは違い、多少は武道の心得というか、護身術的なものは覚えているようですね。
冒頭のところでは、春樹の後ろを取って、身動き取れないようにしていましたし。
中盤でも、攻撃をかわしているシーンがあったはずですし。
そういった部分があったので、弱弱しい金持ちのお坊ちゃまという印象ではなかったですね。

難点といえば、少し惚れやすいところでしょうかね。
一目見た時から、笑子に惚れていましたし。
かと思えば、最後は美代と良い感じになってましたからね。
中盤の雰囲気から、結ばれることはないのかな、と思っていましたが、いつの間にかそんな仲になってたんですね。
譲吉さん、どう思うんだろう……。




○安原美代(やすはら みよ)

田舎から売り飛ばされてしまった美代。本人は信じてなかったようですけど。
かっこいい男とのラブシーンがやりたくて劇団入りを決めたのですが、実近と結託するまでは良かったのですが、最終的にそのようなシーンは無かったような……。
それとも、実近のラブシーンが成功したら、そのあとに美代のラブシーンが用意されてたのでしょうか。
今回の感じだと、美代が良いように利用されてただけのような……。
ただ、実近のやり取りを見て、いくら役者とはいえ、強引にラブシーンをやるものではない、と気付いたのでしょうね。
それとも、イケメンでなくても、良い男はいるという事に気付いたのか。
もしや、実近と結ばれれば玉の輿だと気付いたのか。

そういえば、『からす座』の公演中、ひどい訛りは抜けてたような気がします。
そういった意味では、一番の努力家であり、成長株なのかもしれません。
今後はどうするんでしょうね。
『からす座』は、秋月家にとってはある意味『敵』なわけですし。
それとも、譲吉も武道で黙らせてしまうのでしょうか。




○月岡千草(つきおか ちぐさ)

座敷童だったり失敗したモナ・リザだったり。
千草の一番の見どころは、足が攣ったことで、短い足を晒しているところですよね。
おっと、誤字ってしまいました。誤字ですよ。ええ。本音が出たわけでは、決してありませんよ。
本当の見どころは、『からす座』の開演の口上ですね。
あの口上は、ミスが出ないかハラハラする一方、きっちり決まった時の高揚感は半端ないですね。
「これから『からす座』の舞台が始まる」という気持ちが一気に沸いてきますし。

相変わらず身長のところでいじられることが多いけど、客演さんに対しては優しく突っ込むのに、団員に対しては厳しく突っ込むというのが、観てて面白かったです。
客演と団員のすみわけは偶然のものでしょうけど。
観ている側としては、「ああ、にっしーには言われたくないんだなぁ」とか「かわいい方のまりさんは、かわいいから許されるんだなぁ」とか。
役柄もそうですが、中の人を含めた目線で見ると、また違った面白さが出てくるんですよね。

演出家ということもあってか、千草は「みんなのお母さん」といった感じが出てましたね。
時にはみんなを叱り、時には愛情をもって接する姿、まさに『からす座』の母でした。
これで実績が作れたのかもしれませんが、この実績だと『からす座』専属ということになりそうな……。




○小岩井みどり(こいわい みどり)

冒頭のところからインパクトが強かったですね。
包丁を振り回して、自分に近づけさせないようにするだけでなく、さり気なく春樹の事を殺めようとしていましたし。
なぜ春樹の方に向かったのでしょうかね。役者のにおいがしたからでしょうか。

みどり自身は、『からす座』の役者や関係者というわけではないのですが、『からす座』に触れることで、徐々に明るさを取り戻していく様子が良かったですね。
戦争で失ったものもあるけれど、『からす座』を通じて、元気を分け与えてもらえる。
笑子の目指す『からす座』の雰囲気が、みどりを通じて伝わってきました。
最初に梅之助と出会った時の声の張りと、終盤で『からす座』を手伝ってる時の声の張り、明らかに違っていました。
声の張りだけでなく、表情もかなり明るくなっていました。
『からす座』はそういった劇団なんでしょうね。

ところで。
最後、太郎のことを応援したいと言っていたけど、やっぱり梅之助の事は「ひどい」と思ってるのでしょうか……。




○小岩井敏郎(こいわい としろう)

妹思いのお兄ちゃん。ということもあってか、息子思いの譲吉とは馬が合いそうな感じですよね。
兄の考え方も間違っては無いと思うんですよ。
みどりを演劇の世界に送るという事は、一歩間違えば、傷口に塩を塗るような行為ですから。
そういった意味では、『からす座』で良かったのかもしれません。

敏郎の見どころは、何といっても『からす座』公演乱入時ですよ。
あの動き、カラスカの団員では決して真似できないんじゃないかな。
そして、かっこいいだけでなくて、かなり強いですし。
シュンカですら太刀打ちできませんでしたからね。
『小岩井牛乳おいしい』拳法、凄く良かったです。

もちろん、アクションだけでなくて、中盤のあくどい表情なんかも良かったですね。
「正義は我にあり」という、自信たっぷりの表情をしていましたし。
ただ、根本は『からす座』を潰すことではなく、妹を守る事ですからね。
『からす座』の公演を通じて、妹が元気になってる様子が解ったからこそ、最後はきれいに倒されましたし。
言い方変えると『シスコン』なんですけどね。




○ウィワンヤンク・シュンカ

今回の話で、唯一の不思議キャラ枠。しかも最初は、通りすがりだったし。
話の流れで『からす座』に入ってきたけど、スー族の戦士ということ以外の情報が無いという。
なぜあの場所にいたのかすら、わからないまま……。
姉上でも探しに来てたのかな。

マチャコも言っていたけど、シュンカは存在するだけで面白いキャラクターでした。
面白いだけでなく、スー族の言葉で春樹の事を救ったり、『からす座』が発足するにあたって、大事な戦力でした。
シュンカが居なかったら、春樹はもしかしたら『からす座』からも逃げていたかもしれませんから。

シュンカ……というか、華子さんの凄いところは、あの声量ですよね。
前作の時もそうだったのですが、近くにいる人が顔をしかめてしまうほどの声を出せるのには、いつも驚かされます。
それでいて、公演終盤で喉がやられている様子も無いですし。
体型からしても、あの身体のどこから声量が出てるのか、と思うくらいです。
ただ一つ、これからどこに向かっていくのか少し心配になりますけど。
個人的に『高度ブルー』くらいから、不思議な方向に向かい始めたような……。




○ウグイスマチャコ

一番衝撃を受けたのは、『からす座』のオープニングです。
ぴんきゅさんが歌ってる!!
カラスカ公演ではダンスシーンが急に始まったりしますが、その時のぴんきゅさんってたいてい後ろでツッコミおばはん……もとい、突っ込んでる役なんですよね。
ダンスなんかに関わってこないというか。
今回は『からす座』のオープニングということもあって、絡んできましたね。
珍しいものを観させていただきました。

マチャコも最初は、みどりと同じような境遇だったんですよね。
大切な人を戦争で失ってしまった。
みどりには兄がいたけれど、マチャコには頼れる人は居なかった……。
そのさみしさを紛らわすために、突っ込むところを見つけてはツッコミを入れている日々。
でも、自分でも気付いてたんですよね。
このボケでは物足りない。突っ込む相手はエノキンだけだと。
『からす座』も、もしかしたらさみしさを紛らわすための暇つぶし程度に考えていたのかもしれません。
しかしそこで、銀二に出逢うわけです。
エノキンほどではないけれど、もしかしたら若い頃のエノキンに姿が重なったのかもしれません。
偶然かもしれないけれど、『からす座』は色んな人を救っていたんですね。




○市松紋三郎(いちまつ もんざぶろう)

紋三郎としては中盤まで出てませんが、その前の語り部として出ていました。
人形使いだから黒子の衣装、ということでしょうか。
紋寿が黒子の衣装ではないのは、紋寿がかわいいから、顔を隠すのがもったいないという親心でしょうか。
それとも単に、一人前になるまでは黒子の衣装を着せないのでしょうか。

『からす座』に関しては、以前お世話になったという理由で手伝うことにしたので、他の出演者と違って何かあるということもなく。
強いて言うなら、紋寿の経験値を上げたいということくらいでしょうか。
しかも、シュンカにやられて後半の出番は一切なかったですし。
何なら市松家に関しては、エンディングで一切触れてないという。

派手なアクションは無かったですが、人形使いという面で良いものを観させていただきました。
カーテンコールでもきちんと挨拶したり、手拍子をしたり。
蝉丸もかわいかったですね。




○市松紋寿(いちまつ もんじゅ

紋寿としての出番は中盤だけど、まさか冒頭から出てくるとは思わなかったです。
人形を操りながら語り部や色んな人になりきるのは、なかなか難しかったと思います。
人形……死神殺戮丸も重量ありそうな感じでしたし。

紋寿に関しても、他のメンバーとは少し違い、舞台経験を積みたいという理由で『からす座』に参加しているので、本筋には絡んでこないんですよね。
誰かに助言したり助言を受けたり、奪ったり奪われたりというのが無く、割と当日まですんなりと進んできました。

個人的に紋寿の好きなシーンは、紋寿としては譲吉と敏郎を捕らえたところですね。
見えない糸を操る姿はかっこ良かったです。
これも人形使いの一つの技なのかな。
それと、『からす座』始動のところだったと思うのですが、語り部を締めくくるところでの決めポーズ、きりっとした表情が良かったですね。
これからの活躍に期待ですね。

紋三郎と親子という設定ではありましたけど、みつおさんと一緒だと何だか安心感がありますね。
本当の父娘といったら怒られそうですけど、そんな印象を受けますね。




最後は個人的に感じた『個人の感想編』へ。